院長コラム

2025年05月

糖尿病による手の病気

糖尿病が原因の一つと考えられている手の病気には狭窄性腱鞘炎、手根管症候群、デュプイトラン拘縮があります。

狭窄性腱鞘炎は、指を曲げる腱が腱鞘の中を滑走しにくくなる病気であり、血糖値が高いと指の屈筋腱などの結合部と腱鞘が厚くなり、障害が起こると考えられています。腱鞘炎患者の3分の1に糖尿病があり、HbA1cが高いほどそのリスクは上昇するという報告や、糖尿病では複数指が同時に腱鞘炎になる傾向が非常に強いという報告があります。

手首には手根管という正中神経や屈筋腱が通るトンネルがありますが、糖尿病ではこの手根管が厚く狭くなり、同時に手根管内が腫れて正中神経を圧迫し、神経障害を起こし手根管症候群となります。また、糖尿病の方は元々神経が圧迫に対して弱くなっており、神経障害を生じやすいといわれています。

デュプイトラン拘縮は、手のひらの皮膚の下の手掌腱膜が肥厚、退縮し、指が伸ばしづらくなる病気です。男性に非常に多く、症状の自然治癒はありません。経過とともに指の動きが悪くなり、生活に支障を来すことがあります。

いずれの病気も早期の診断と治療が必要であり、早い時期に手の治療を行っている病院の受診をお勧めします。

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