院長コラム

2024年7月

石灰沈着性腱板炎とは?

石灰沈着性腱板炎とは、肩関節を安定化させる筋肉や腱の集まりである腱板にリン酸カルシウムの結晶が沈着し炎症を起こす病態をいいます。明確な原因は不明ですが、40~50歳代の女性に多く、肩の強い痛みや動きづらさが生じます。

病期は、発症後4週以内の急性期、1~6カ月の亜急性期、6カ月以上の慢性期に分類されます。急性期では、安静時、動作時ともに強い疼痛が生じます。石灰は濃厚なミルク状であり、自然吸収されることが多いですが、吸収されずに徐々に石こう状へと硬く変化していき慢性化すると、肩関節拘縮を来すことがあります。

治療方法は、急性期では石灰部位を穿刺し石灰を吸引する方法や関節内注射、消炎鎮痛剤の処方等があります。最近では、リハビリテーションでの治療の一つに、拡散型圧力波治療があります。これは、圧縮空気が生み出す振動を筋や腱に照射するもので、石灰沈着による痛みや石灰の縮小にも効果があるとされています。他にも、組織代謝の促進や筋緊張緩和等の効果があり、肘や腰、膝の治療としても使用されており、最近注目されている治療法です。

少しでも気になる症状がある方は早めに医療機関を受診し、適切な治療を行うことをお勧めします。

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