院長コラム
2023年9月
手の拘縮にならないために
手の拘縮とは、何らかの原因で手指や手首の関節の動きが悪くなった状態のことです。その原因の多くは、けがによるものです。けがによる痛みや腫れのために手を動かせなくなり、手に浮腫が起こり、組織の線維化や血流障害が起き、組織の瘢痕(はんこん)化や癒着により関節の動きが悪くなります。手は狭い範囲に腱(けん)、神経、血管、骨、関節などが密に存在しているためにけがによる拘縮が生じやすい場所です。手の拘縮の予防としては、痛めた手の挙上や軽度の圧迫包帯、そして適切な肢位での手の固定と固定された関節以外の関節を積極的に動かすことが挙げられます。保存療法としては、痛みや腫れを軽減させるための薬物療法や物理療法、関節の動きを改善させるためのリハビリ療法や装具療法があります。保存療法で手の良い動きが得られない場合は、手術療法が必要となることもあります。しかし手の拘縮は一度生じてしまうと治療は容易ではなく、予防に勝る治療法はありません。
手のけがで腫れや痛みが生じた時には、早期に手の治療を行っている病院への受診をお勧めします。