院長コラム
2022年05月
糖尿病と手の病気
糖尿病が原因の一つと考えられている代表的な手の病気には狭窄(きょうさく)性腱鞘(けんしょう)炎(ばね指)、手根管症候群、デュプイトラン拘縮があります。
狭窄性腱鞘炎は、指を屈曲する腱が通る腱鞘が炎症を起こして肥厚し、腱が腱鞘の中を滑走しにくくなる病気であり、腱鞘炎患者の3分の1は糖尿病があるという報告もあります。また、糖尿病では複数指が同時に腱鞘炎になる傾向が非常に強いという報告もあります。
手根管症候群は、手首にある手根管というトンネルの中で神経が圧迫され、親指から薬指のしびれや痛み、手の使いにくさが起こる病気です。糖尿病ではこの手根管が厚く狭くなり、同時に手根管内が腫れて正中神経を圧迫し、神経障害を起こします。また、神経が圧迫に対して弱くなっており、神経障害を生じやすいといわれています。
デュプイトラン拘縮は、手のひらの皮膚の下の手掌腱膜が肥厚短縮し、指が伸ばしづらくなる病気です。また、男性に非常に多く、症状の自然治癒はありません。指の動きが悪くなり、生活に支障を来す場合には手術が必要になります。
いずれの病気も早期の診断と治療が必要であり、手の治療を行っている病院での早めの受診をお勧めします。