院長コラム
2021年03月
ばね指は放置してもよいのか?
何らかの原因で指を曲げる腱(けん)と腱鞘(けんしょう)(腱の通るトンネル)の間で炎症が起きると、腱鞘炎となり痛みを感じるようになります。続いて腱鞘が腫れて厚くなり、腱の一部も腫れて肥大化し、腱鞘内を通過する際に引っ掛かるようになり、ばね指となります。指のスムーズな動きができなくなり、ひどくなると指が引っ掛かったまま伸びなくなったり曲がらなくなったりします。
ばね指の保存的治療としては、局所の安静や消炎鎮痛剤、外用薬の使用、装具などによる一時的固定を行います。症状によっては、ステロイド剤の腱鞘内注射を行いますが、頻回の注射により腱の断裂や感染の可能性もあり、2~3回注射をしても治らない場合は、腱鞘の一部を切開する手術を行います。手術自体は、1cm程度の切開で済み、所要時間も10分程度と短いため、日帰りで行うことが可能です。ばね指の状態が長く続くと指の第2関節(PIP関節)が硬くなり他の指の動きにも影響が出て握り込みができなくなり、握力も低下します。また、PIP関節に変形を来たす可能性もあり、手術を行っても十分には良くならないこともあります。ばね指になった場合はできるだけ早く治療をされることをお勧めします。