院長コラム
2019年05月
ドケルバン病とは
ドケルバン病は、手首の母指の付け根の腱鞘(けんしょう)炎です。腱鞘と呼ばれるトンネルには、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の2種類の母指を動かす腱が通っており、そこで炎症が起こることにより痛みと腫れを生じます。母指を伸ばしたり広げた際に、母指の基部に痛みを生じます。ドケルバン病を自己判断する方法には「アイヒホフ・テスト」があり、親指を握り込んだ状態で手首を小指側に曲げた際、母指の付け根に痛みを生じるときは、ドケルバン病の可能性が高いといえます。ドケルバン病は、妊娠時、産後や更年期の女性に起こることが多く、パソコン作業、スマートフォンの操作、楽器演奏やスポーツをする方など母指をよく使う方にも見られます。
治療としては、保存的には、母指の安静、消炎鎮痛薬の内服と外用薬や装具の使用、症状が長引く場合やひどいときはステロイドの腱鞘内注射を行います。ステロイドの注射は、頻回行うと腱が傷みますので、注射を1、2回行い痛みが良くならない場合は、腱鞘を広げる手術を検討します。手術は一般的には局所麻酔下に日帰りで行えます。痛い状態を放置していると手の使用に支障を来すため、専門の医師を受診して適切な治療を受けることが大切です。